
「五十肩だと思っていたけれど、なにか違うかもしれない…」
「まさかとは思うけれど、悪いものだったら…と考えてしまう」
人にはなかなか話しにくいことだと思います。周りに話せば心配をかけてしまいそうですし、かといって一人で悩み続けるのも、とても不安ですよね。
ですので、先にお伝えします。肩の痛みにがんが関係しているのは、研究でもごくまれです。ある病院で、肩の痛みと動かしにくさを訴えて受診した505人を調べた研究では、あとから悪性の腫瘍と分かったのは4人(0.8%)——100人に1人もいませんでした。
それでも、この記事を書くのには理由があります。まれではありますが、五十肩とよく似た症状が現れることがあるからです。
この記事は、決して不安をあおるためのものではありません。「どこまでは様子を見てもよく、どのような場合には医療機関で確認したほうがよいのか」——その線引きを分かりやすくお伝えするために書きました。
この記事でわかること
- 肩の痛みががんに関係している頻度は、どれくらいまれなのか
- 五十肩の痛みと、注意しておきたい肩の痛みの違い
- 「念のため整形外科で確認したい」ときの目安
- 受診すると、どんなことを調べてもらえるのか
結論:がんが関係するのはごくまれ
詳しい話に入る前に、まずはいちばん大切なポイントをお伝えします。
ざっくり言うと、次のように考えていただくと整理しやすくなります。。
- 肩の痛みで、がんが関係しているケースはごくまれ
ある病院で、40歳以上で「肩の痛みと動かしにくさ」を訴えて受診した505人を調べた研究では、あとから悪性の腫瘍と分かったのは4人(0.8%)だったと報告されています - 大切なのは、「経過」
ケアを続けていても良くならない、むしろだんだん悪くなっていく——このような経過は、医師に診てもらうかどうかを考えるうえで、重要な目安の一つです。
実際、五十肩として扱われていた肩の腫瘍の症例をまとめた報告では、通常のケアで良くならない五十肩では、肩の痛みとこわばりを起こす、より頻度の少ない原因についても考える必要がある、という趣旨の結論が述べられています。
ですので、この記事の内容は「自分で見分けるため」ではなく、「そろそろ一度、整形外科で確認してもらおうか」と判断するための材料として読んでいただければと思います。
五十肩の痛みは、どんな痛み方をするの?
五十肩・四十肩の特徴は、肩の動きがだんだん悪くなること(運動制限)です。
医学的には「肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)」と呼ばれます。
40代で起これば「四十肩」、50代以降なら「五十肩」と呼ばれることが多いのですが、これは発症した年代による呼び分けで、状態そのものは同じです。
40〜60代、特に50代の方に多く、女性にやや多い傾向が報告されています(日本整形外科学会ほか)。
肩関節をつくっている骨・軟骨・靱帯や腱、関節を包む関節包などが年齢とともに変化し、その周囲に炎症やこわばりが起きて、肩の動きが制限されていくと考えられています。

痛みの始まり方には個人差がありますが、五十肩では一般に、数週間から数か月かけて痛みや肩の動かしにくさが徐々に強くなっていきます。
特に、「自分で動かしても、人に手伝ってもらっても動きにくい」のが五十肩の重要な特徴です。
がんが関係して肩が痛くなるのは、どんなとき?
ここでは病名を判断するのではなく、「このような仕組みで肩に痛みが生じることがある」という説明にとどめます。
大きく分けて、3つのパターンが知られています。

① 他の場所のがんが、骨に広がったとき(骨転移)
がんが骨に広がることを骨転移といいます。上腕の骨(上腕骨〈じょうわんこつ〉)も、その場所のひとつです。
肩まわりの骨転移を手術した93人を調べた研究では、もとのがんとして乳がんが約25%で最も多く、次いで骨髄腫(こつずいしゅ)・腎臓のがん・肺がんが続いたと報告されています。
別の総説では、女性では乳がん、男性では前立腺がんが多く、近年は肺がんからの転移が増えていると説明されています。
② 肺の一番上にできたがんが、近くの神経を刺激するとき
肺の頂上のあたり(肺尖部〈はいせんぶ〉)にできるタイプの肺がんは、パンコースト腫瘍と呼ばれます。
このタイプでは、肩の痛みが、最初に現れる症状としていちばん多いと報告されています。そして、首や肩の腱板(けんばん)の障害、五十肩と間違われやすいことが知られており、正しい診断までに5〜10か月かかることがあるとされています。
見つけにくい理由の一つは、咳・息切れ・血痰(痰に血が混じる)などの呼吸器症状が、特に初期には現れないことが多いためです。「肺の病気なら咳が出るはず」と思いがちですが、初期には必ずしも症状が現れるとは限りません。
「片方のまぶたが下がる・瞳が小さくなる」という項目は聞き慣れないと思いますが、これはパンコースト腫瘍で知られている変化です(医学では「ホルネル症候群」と呼ばれます)。
あわせて、手の小さな筋肉のやせや、力の入りにくさがみられることもあると説明されています。
長く喫煙されてきた方で、片側の肩の痛みが続いている場合は、胸のレントゲンなどで確認しておくとよいとされています。
③ 肩そのものに腫瘍ができるとき
数としてはさらに少なくなりますが、肩甲骨や上腕骨など、肩まわりの骨や筋肉に腫瘍ができることもあります。
当院でも、これまでに1例だけ経験があります
その患者様は、ご自身の肩の痛みを五十肩だと思い、来院されました。
ただ、肩の状態を確認していくと、五十肩とは様子が違いました。
肩の動く範囲がまったく正常でした。そして、動かしても痛みがまったく変わりませんでした。 強くなることも、弱くなることもありません。ずっと同じように痛い、という状態でした。
五十肩であれば、動かしたときに痛んだり、動く範囲が狭くなったりするのが一般的です。
そのどちらも当てはまらなかったため、肩そのものが痛みのもとではないかもしれないと考え、かかりつけの先生か呼吸器内科にご相談いただくようお伝えしました。
結果は、初期の肺がんでした。
これは当院で1例だけの経験で、肩が痛くて来られる方の大多数は、こうしたケースではありません。ですので「肩が痛い=がんかもしれない」と受け取らないでください。ただ、この経験から一つだけ、お伝えしておきたいことがあります。
これは、当院で経験した1例だけにすぎません。肩の痛みで来院される方の大多数が、このようなケースに当てはまりません。そのため、「肩が痛い=がんかもしれない」と、すぐに結びつける必要はありません。
ただし、この経験から、
「肩が痛いのに、動かしても痛みの強さが変わらず、動かせる範囲も狭くなっていない」——このような場合は、肩そのもの以外に原因がある可能性も考え、一度、医療機関で相談することをおすすめします。
「分かりやすいサイン」がないこともあります
10件の研究をまとめたレビューには、肩まわりの腫瘍と分かった方が442人含まれていました。そのうち、最初は五十肩と診断されていた方の割合は、研究によっておよそ1割から5割と、大きな幅がありました。正しい診断までに最長30か月かかったケースもあったとされています。
注目したいのは、五十肩と間違われた方の症状の出方です。症状の記録が残っていた30人では、最も多かったのが動かしにくさと肩の痛み(それぞれ73%)でした。つまり、五十肩とそっくりの出方をしていたということです。
一方で、しこり・腫れ・見た目の変形があったのは7%にとどまりました。腫瘍と分かった方全体では34%にみられた変化ですから、五十肩と間違われた方では、目に見える手がかりが少なかったことになります。なお、この30人のうち10%には、がんの治療を受けた経験があったとも報告されています。

このレビューの著者らは、だからこそしこり・腫れ・変形がないか、骨を押したときに一点だけ痛むところがないかを、診察でていねいに確かめるべきだと結論づけています。手がかりが少ないからこそ、専門家の目で確認してもらう価値がある、ということですね。
さらに、肩の腫瘍を扱った報告では、最大10%はレントゲンでも異常が写らないという記載もあります。
つまり——
分かりやすいサインが、必ず現れるとは限りません。だからこそ、「なかなか良くならない」「だんだん悪くなっている」などの場合は、一度、整形外科で診てもらうことが大切です。
「五十肩になると、がんになりやすい」わけではありません
デンマークで、五十肩と診断された約2万9千人を長期間追跡した研究があります。この研究では、五十肩と診断されてから6か月以内にがんが見つかった方は0.70%(およそ140人に1人)と報告されました。同じ年代・性別の一般の方と比べるとやや高い数字でしたが、6か月を過ぎたあとは、一般の方と比べて1.04倍(差はごくわずか)にとどまったとされています。
研究チームは、五十肩はその後にがんと診断されることの早期のサインになりうる、と結論づけています。ここで気をつけたいのは、これは関連を調べた研究であって、原因と結果を確かめたものではないという点です。五十肩が原因でがんになる、という意味ではありません。
五十肩と思われていた肩の痛みの中に、ごくまれにがんに関係するものが混じっていた可能性がある、ということになります。
裏を返せば、この研究では99%以上の方に、6か月以内のがんの診断はなかったということでもあります。研究チームも、がんが見つかる絶対的な割合は小さく、全員に検診をすすめるほどではないという趣旨を述べています。
こんなときは、整形外科で確認しておくと安心です
次のような場合は、セルフケアで様子を見るより、まず整形外科で確認してもらうことをおすすめします。
- 肩を動かしても、痛みがまったく変わらない
※痛みが強くも弱くもならない/動く範囲も狭くなっていない - 体の向きを変えても、夜の痛みが和らがない
- 肩や腕、肩甲骨のあたりにしこり・腫れ・見た目の変化がある
- 手のしびれ・手の筋肉のやせ・力が入りにくい感じがある
- 片方のまぶたが下がる、瞳が小さくなるといった変化に気づいた
- 体重が減ってきた・微熱が続く・食欲が落ちたなど、肩以外にも変化がある
そして、五十肩かどうかにかかわらず、強い痛みやしびれ、はっきりしたケガなどのきっかけがある場合は、整形外科医の受診をお勧めします。
整形外科では、どんなことを調べてもらえるの?
「受診したほうがいいのは分かったけれど、行ったら何をするんだろう」と気になりますよね。
整形外科では、医師が肩の動きや痛みの出方を確認したうえで、必要に応じてレントゲン・超音波・MRI(体の中を詳しく撮影する検査)といった画像検査を行います。
肩以外の原因も考えられる場合には、胸のレントゲンや血液検査などが加えられることもあります。
先ほどご紹介した症例研究でも、通常のケアで良くならない場合には、あらためてレントゲンを撮り直し、必要なら追加の画像検査へ進むことがすすめられています。
また、日本整形外科学会によると、五十肩の痛みが強い時期には医師による消炎鎮痛剤の内服や注射が有効とされ、その後は温熱療法や運動療法などのリハビリを行うと説明されています。痛みが強くてつらいときには、こうした選択肢があることも知っておいていただければと思います。
原因がはっきりすると見通しが立って、気持ちの面でも楽になる、という方もいらっしゃいます。

都城市のはる整体院でできること
はる整体院には、国家資格である柔道整復師の資格を持つ施術者がいます。
肩のどの動きでつらさが出るのか、痛みはどんなタイミングで強くなるのか、日常のどんな動作で困っているのかを一つずつ確認しながら、お体の状態を評価し、その方に合わせた施術やセルフケアをご提案しています。
当院でも、手で肩の動きや力の入り方を確かめながら、肩の状態を確認しています。ただし、これはお体の状態を確かめるためのもので、病気を診断することはできません。 診断や治療方針の決定は、画像検査ができる医師(整形外科)の領域です。
そのため、経過が典型的な五十肩と違う場合や、施術を続けても思うように変化が出ない場合は、整形外科の受診をおすすめしています。 これは当院がふだんから大切にしている考え方です。
当院に五十肩でご相談に来られる方のおよそ半数は、先に整形外科や病院を受診されています。
よくある質問(FAQ)
Q. 肩の痛みだけで、がんが見つかることはありますか?
A. 頻度としてはごくまれですが、報告はあります。肺の頂上のあたりにできるタイプの肺がんでは、肩の痛みが最初の症状として最も多いとされています。ただ、ある病院で40歳以上の肩の痛みとこわばりを訴えた505人を調べた研究では、悪性の腫瘍だったのは4人(0.8%)という報告もあり、大多数は肩そのもののトラブルです。
Q. 五十肩になると、がんになりやすくなるのですか?
A. そう考える必要はないと思われます。約2万9千人を追跡した研究では、五十肩と診断されてから6か月を過ぎたあとのがんの見つかりやすさは、一般の方の1.04倍と、差はごくわずかだったと報告されています。
Q. レントゲンで「異常なし」と言われました。それでも心配です。
A. お気持ちはよく分かります。ケアを続けても良くならない、あるいはだんだん悪くなっていくときは、もう一度医師に相談していただくのが安心です。 肩の腫瘍のうち最大10%はレントゲンに写らないという報告もあるため、経過が思わしくないときは、あらためて確認してもらう価値があります。逆に、経過が順調に落ち着いてきているようであれば、過度に心配される必要はないと思います。
Q. 過去にがんの治療を受けたことがあります。肩が痛いときはどうすればいいですか?
A. その場合は、まず主治医の先生にご相談ください。がんの種類によっては骨に広がることがあり、上腕の骨や肩甲骨もその場所になりえます。自己判断で様子を見るより、一度相談しておくほうが安心だと思います。
Q. 不安なときは、何科を受診すればいいですか?
A. 肩の痛みや動かしにくさは、まず整形外科が相談先です。そのうえで、肩以外の原因が考えられる場合には、医師から適切な診療科を案内してもらえます。
まとめ
最後に、この記事のポイントを振り返ります。
- 肩の痛みの多くは筋肉・腱・関節など肩そのもののトラブルで、がんが関係するのはごくまれと報告されています
- 五十肩は「動かすと痛い」「動く範囲が狭くなる」「時間とともに少しずつ軽くなっていく」のが一般的です
- 注意しておきたいのは、じっとしていても痛い/だんだん強くなる/動かしても痛みが変わらない/体重減少などの全身の変化/しこり・腫れ/がんの治療歴
- ただし、分かりやすいサインがないケースも報告されています
- 自分で見分けようとせず、気になるときは整形外科で確認してもらうのがいちばん安全です
不安な気持ちを抱えたまま我慢して過ごすことは、それ自体がつらいものです。「たぶん大丈夫」と「もしかしたら」の間で迷ったときは、一度確認しておくことで、気持ちが楽になると私は思います。
そのお悩み、都城市のはる整体院にご相談ください
最後に、順番だけ整理させてください。
この記事で挙げたような気になる症状(じっとしていても痛みが強くなる・体重が減る・しこりや腫れがある・がんの治療歴がある など)があるときは、まず整形外科を受診してください。 当院ではなく、医療機関が先です。
そのうえで、「病院で調べてもらったけれど、この先どうケアすればいいか分からない」「五十肩と言われたけれど、なかなか良くならない」——そんなときは、都城市のはる整体院にご相談ください。
国家資格を持つ施術者が、肩の状態と経過を一つずつ確認しながら、あなたに合ったケアの方法を一緒に考えていきます。経過が気になるときは、あらためて整形外科で確認していただく目安もお伝えします。
参考にした情報(出典)
- 日本整形外科学会「五十肩(肩関節周囲炎)」 https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/frozen_shoulder.html
- Sano H, et al. Tumors masked as frozen shoulders: a retrospective analysis. J Shoulder Elbow Surg. 2010.(505例中4例=0.8%/34例中9例=26%/保存療法が効かない場合の再評価) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19574068/
- Pedersen AB, et al. Frozen shoulder and risk of cancer: a population-based cohort study. Br J Cancer. 2017.(29,098例・6か月0.70%・6か月以降は一般集団とほぼ同等) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5520209/
- Wilkinson MS, Obst SJ. Shoulder girdle neoplasm misdiagnosis and clinical manifestations: A scoping review. 2025.(442人中30人が先に五十肩と診断・研究ごとの誤診率10〜50%・遅延最長30か月/誤診30人では可動域制限と肩痛が各73%・腫瘤や腫脹は7%・がんの既往10%/腫瘍全体346人では腫瘤や腫脹34%) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11907508/
- Lessons learnt from the painful shoulder; a case series of malignant shoulder girdle tumours misdiagnosed as frozen shoulder. Int Semin Surg Oncol. 2005.(通常のケアで良くならない五十肩では他の原因も考える/最大10%はレントゲン正常) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC546198/
- Lung Pancoast Tumor. StatPearls.(肩の痛みが最も多い初発症状・五十肩等との誤診と5〜10か月の診断遅延・初期は咳や息切れが出にくい・ホルネル症候群・手の筋萎縮) https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK556109/
- Adhesive Capsulitis (Frozen Shoulder). StatPearls.(自動・他動ともに可動域が制限される/外旋から制限が始まる/数か月〜2〜3年) https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK532955/
- Outcome of surgical management of bony metastases to the humerus and shoulder girdle. Ann R Coll Surg Engl.(93例・乳がんが約25%で最多・約90%が上腕骨) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC1413543/
- Evaluation of Bone and Soft Tissue Tumors of the Shoulder Girdle.(女性は乳がん・男性は前立腺がんが多く、近年は肺がんからの転移が増加) https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10613316/
